- Moderation in all things(何事もほどほどに)
ロックは大音量で聴くのがよい──そう思う人は多いでしょう。 確かに田舎の田んぼの真ん中に建つ一軒家であれば、思いきり音を鳴らすのは気持ちのよいものです。しかし、都会のマンションの一室で同じことをすれば、すぐに隣近所から苦情が来ます。
そこで、マンションという環境に合わせて、アンプを使いながらスピーカーの音量を丁寧に調整します。時間をかけてその場所に合った音を作り込むと、不思議なことに、音量を上げなくてもスピーカーは驚くほど豊かな音を響かせてくれます。
ある日、マンションに誰もいない日があったとします。「今日は思いきり音量を上げて聴こう」と考え、いつもより音を大きくしてみます。ところが、音割れしてしまい、期待した音は鳴ってくれません。スピーカーもアンプも本来はもっと大きな音を出せるはずなのに、急にそうしようとしてもうまくいかないのです。
もし本当に同じ部屋で大音量で美しい音を鳴らしたいなら、また一から時間をかけて音を作り込む必要があります。小さな音を整えたときと同じように、100日かけて調整・微調整を行います。その積み重ねがあって初めて、音は美しく響くのです。
つまり、音量には、環境・機器・目的等に合った「ちょうどよいところ」があります。人間の声も同じです。人によって適した声量があり、無理して声を張れば声が割れるだけでなく、脳にも負担がかかります。
そして、このことは音に限らず、あらゆることに通じます。物事には、“ほどほど”という考え方があるのです。
例えば文章を書くとき、背伸びをして自分の実力以上に難しい言葉を使おうとしても、よい文章は書けません。今の自分の実力に見合った言葉を使って書くことで、文章は自然と整い、読み手に届くようになります。節度をもって「ちょうどよいところ」を見つけることが、音作りや文章だけでなく、すべての物事に共通する大切なことなのです。
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「今日の学び」に記す内容は、すべて生井利幸先生より日々賜る学術講義に基づき、弟子の私、竹内差世がまとめております。
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