【今日の学び】思考

思考

 ある一つのものだけを見続けていると、それがいったい何であったのかがわからなくなることがあります。例えば「堅物(かたぶつ)」という言葉を、何十回も繰り返しているうちに、その意味がわからなくなったり、「黒」だけを見続け、黒のことばかり考えていると、黒そのものが何であるのかが曖昧になってしまいます。しかし、黒を見るときに白があると、黒の輪郭がはっきりとします。人間は多くの場合、事物と事物を比較することによって、その価値を認識します。そのため、同じものばかりを見続けていると、バランスが崩れてわからなくなってしまうのです。
 一方で、どのような事物にも絶対的な価値があり、世の中には、比較することなしに、それをそっくりそのまま捉えることができる人もいます。このような人は、同じ事物について考え続けることで、そこに今までと異なるものを見出します。例えばinfinitesimality(微小性)について考えると、最初は人間存在の微小性から始まり、生物学における微小性とは何か、人間社会における微小性とは何かと広がり、思考へとつながっていきます。そして、それらを関係づけていくのです。これこそが、思考です。
 もちろん、誰もがそのようにできるわけではありません。ほとんどの人が、同じものばかりを見続けると盲目になります。また、思考とは何かをわかっている人も多くありません。大切なことは、それらのことを認識・理解したうえで、自分の立ち位置を見失わず、常に事物を客観的に捉えながら、そして、一つのことを時間をかけて考え続けるということです。そうすることで、本当の思考につながり、さらには、思考に深さ・厚みがでてくるのだと思います。

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